どうも、くらげです。
ダイビングをしていれば、一度や二度は死にかけると思います。
死んだら社会的には管理者の責任にはなりますが、ダイビング界では自業自得という認識が多数派……だと思います。
ダイビングは自転車と同じです。
最初から上手にできる人はいません。不慮の事故で理不尽な目にあうことだってあります。慣れてきたら難易度の高い道を走ることもあるでしょうし、ちょっとルールを破ったりすることもあるでしょう。たまにひやっとすることもありますが、それでもみんな自転車に乗ります。
それは、自転車は安全に運転すればそうそう死ぬことがないから、ではないでしょうか。
ダイビングも同じです。安全管理をすれば、そう死ぬことはありません。スキルが足りないなら、安全で簡単なポイントで潜って練習することもできます。初めのうちは誰かに見守ってもらいながらしますし、いつかは互いの命を預けあいます。
最初は自転車に乗っていてスピード感は恐怖の対象かもしれません。
しかし、慣れてくればそれこそが楽しみ、になりますよね。
ダイビングも、恐怖を感じにくくなってくれば、真に楽しむことができますよ。
でも死んだら意味ないですね。
じゃあ何を気を付けたらいいんでしょうか。
まずダイビングをするときは気になることをガイドに伝えましょう。
・耳抜きが苦手
・足がつりそう
・エアもちが悪い
コミュニケーションがとりにくい水中では、何に困っているか伝えることが難しいはずです。
あらかじめ言っておくと、ガイドが遠くからでも何が起きているかわかりやすいので、すぐに行動に移せます。
ただ、何でもガイドが何とかしてくれる、という意識ではなく、いつかは自分でできるように目指しましょう。段階1は冷静になることですね。
ガイドも自分の命を自分で守らなきゃいけません。(特にガイドは、バディが命を守ってくれないことも多いですし)
過酷な環境ではガイドだって自分の命を守るのに必死で、助ける手がないこともあります。
自分の命は基本的に自分で守り、相手に頼んだ方が効率的なことは相手に頼む。
これが理想ですね。
ガイドの人は、そういった有事が起きているかどうかをすぐ見極める(起きていない時に対処する分にはもちろん大丈夫)ように心がけましょう。
例えば、
耳抜きが苦手な人が無理やり水深を下げて思い切り息を吹き込んでいる様子があった。そしたら、即座にその人を浅い方へ持ち上げます。水深を深くしては耳抜きが難しくなるばかりだからです。また、強く息を吹き込むと中耳炎の原因になります。
耳抜きのコツです。
目標の水底まで、耳抜きができる場所から止めどなく(気持ち10cm感覚で)耳抜きをし続けます。失敗したらまた水深をあげて、繰り返しです。これが基本ですね。
マスクを強く締め付けすぎると、耳抜きがしにくくなると言われています。緩めてみるのも手です。
それでもだめなら、一度深呼吸してリラックしたり、耳周りをマッサージしましょう。筋肉をほぐすことが耳管を開くのに役立ちます。
鼻をかむことも有効です。鼻水は海に捨てましょう。
耳抜きが苦手な人は地上で耳管が開く感覚を覚えましょう。
あくびをしたとき、耳の穴のちょっと下から、「キャパ」って音の後、「こぽーー」という音が聞こえませんか。これが耳管です。
唾をのんだり、鼻をつまんで息を優しく吹き込むと、同じところが開く感覚があると思います。なれてくれば唾をのまなくても開けます。
たくさん開けて、ほぐしておきましょう。
足がつったらフィン先を持ち引っ張りましょう。誰かを呼んでもいいです。逆に、呼ばれているときは助けてあげましょう。一度つった足は何度もつることも覚えておきましょう。タンクを持って、押してあげるのも有効です。
マスククリアを頻繁にしていたら髪の毛がはさまっているのかもしれません。曇っていたり鼻をかんでいることもありますが……。
誰かが蹴られそうなとき、近くにいれば防いであげることもできますが間に合わないこともあります。それに、全て防いでしまっては慣れませんし……。
そういうときは蹴られるのを優しい目で見守っていましょう。レギュやマスクが外れて慌てる人もいれば、思いのほか冷静な人もいます。人によっては水面に飛び上がろうとする人もいるので、そのとき急いで捕まえて、浮上速度を下げます。たぶん浮上を防ぐのは困難です。もし水深が深いなら、相手の浮上速度を下げたうえでレギュやマスクをなおしてあげ、肩や手を握ってあげましょう。相手が強く握り返して来たらかなりパニックになっています。
パニックになり、何をしても冷静になれないときはどうしましょうか。
はい、あきらめます。
パニックになった人は周囲の人まで巻き込もうとします。
自分の身が危険になってはしょうがないですからね。水面にいるなら死ぬことも少ないですし、一度疲れて暴れることができなくなったら、助けます。ちなみにこれはPADIレスキューダイバーの正式な知識です……。
他にも様々な有事があります。
ロープが絡まって、暴れてさらに絡まって、1人で抜け出せなくなっていることもあります。
ロープに絡まった時はまずあきらめて動きをやめます。
慣性もなくなってきたら、できるだけ首だけで、それでも無理なら小さな動きで、後ろを確認しましょう。どうひっかかっているか、それが大事です。
よく、ひっかかったのを引っ張ってとろうとする人がいますが……結び目ができることもありますのでやめましょう。
ひっかかっているのがオクトパスであることもあります。というかだいたいはオクトパスですね。岩とかにひっかかることもよくあります。
それを無理に引っ張れば、オクトパスが破損する原因にもなります。
何か前に進みにくい、どっかを引っ張られると思ったら目で確認しましょう。
エア切れに気づかず、空気が吸えなくなってパニックになる人もいます。
自分の残圧をこまめに確認するようにしましょう。
特に残圧が減ってきたら、確認する頻度を増やしましょう。
予期できないのが、生物との事故だったりします。
生物には針をもっているものから、毒をもっているものまで。
人によっては理由もわからず痛みが走り、痛みの強さに関わらずパニックになる人もいます。
・まずは地面との接触を減らす。
・地面と接触するときはフィンでする、目で確認する。
・手でつかむ場所は目で確認する。
これが重要です。
またバディのアシストをしていた、撮影に夢中だったなどで気づかずに生物に攻撃を受けることもあります。
オニダルマオコゼやエイのように擬態が上手な子もいるため、完全に防ぐには相当の注意が必要です。
あとはあきらめの精神ですね。起きたことはしょうがないです。
いってーー、けどしょうがないかーみたいな。
痛がっても問題は解決しないので、耐えられるなら続行、耐えがたい痛みなら周囲に伝えみんなでエキジットしましょう。
だいたいガヤかサンゴですね。
ただ、耐えてはいけない痛みもあります。痛みすらないこともあります。
神経毒です。
ピリピリとしびれる感じがあったらすぐ上がりましょう。神経毒は少しずつ全身に回っていくので、心臓や肺にまで届くと水中ではどうしようもありません。
ラッパウニやヒョウモンダコ、オコゼ系などは神経毒を持っているため、痛みがなくとも筋肉が麻痺して溺死する可能性があります。
基本的に、こちらからアクションをしなければ攻撃されることはほとんどありません。ウツボも蹴ったり握ったりいじめすぎたりしなければ噛まれませんし、サメは追いかけたら逃げるほどです。
スズメダイやクマノミのように近づくと噛んできたり、サンゴやクラゲのように触ると刺すものも、近づいた人間側の過失ですよね。
例外もいます。
海のアタッカー、ゴマモンです。
6~9月の沖縄のリーフでは、小さい生き物に集中していると痛い目を見ます。
はるか数十メートル遠くからやってきて、5mmのウェットスーツなどものともせずにかみちぎってくる化け物がいるからです。見ればわかりますよ、恐ろしい見た目しているので。
常日頃、ガイドに目を配らず下だけを見ているダイバーがだいたい餌食になります。まぁ自業自得ですね、しょうがないです。
だって私はちゃんと言いましたよ、危ないから急いでくださいねって……。
(こっちが手を振ったり肩を叩いても気づかない人もいますが……笑)
とにもかくにも、こいつは産卵場所から数十メートルを縄張りとし、縄張り内のあらゆる生物へ攻撃をしかけます。硬い頭皮は、垂直に打ち込めないと水中銃すらはじき返すらしいです。
はい、最強です。
できるのは逃げ一択です。
ときには、激しい潮流に襲われることもあります。
基本的に潮流のある所へ初心者は連れて行かないのですが、
どうしてもと頼まれたり、
ちょっと無理をしたり、
いつもは流れないところだったり、
そういう場面は起きてしまいます。
上級者ですら自分の面倒を見るので精一杯、なんて時もあります。
流れているときは手を頼りましょう。
ダイビングでは手はあまり使わないようにしましょうと習うのですが、潮流に対してフィンキックで戦うのは骨が折れます。……骨は折れないけど足がつります。
付着物がないのを確認し、海底につかまります。
このとき、フィンキックはあきらめましょう。
あとはロッククライミングです。
ただ、これは海底にたどり着けたらの話。水中での潜降が上手にできなければ、海底にたどり着く前に沖へ吹き飛ばされてしまったーなんてこともあります。
はい、あきらめましょう。
水面で救助を待つ以外に手はありません。
潜降スキルって大切ってことですね。
流れって風と同じで目に見えるものではない、そう思いますよね。
そういうときは、泡を見てみましょう。
はいた泡がやや上で真横に流れていく。
そのあと下に沈んで上にいって横に行って……。
流れがあるとき、物理法則を無視した動きをしているはずです。
これもやはり、下ばかり見ているダイバーが飛ばされがちですね。みんなが岩につかまっているのに、そうと知らずあーれーって流されたり、みんなが右へ流される潮流にいるのに、別の場所で左の潮流につかまって飛んで行ったり。
水中ではぐれることはたまに起きる事故です。
水深が浅くなるほど透視度は下がり見失いやすくなります。
エキジット口がすぐそこなら、そのまま自力で帰ったり、水面に移動して帰っても大丈夫です。
水面移動は大変なんで、できれば水中を移動したいですね。
そうでないときは、その場で1分待って水面浮上です。
ガイド側は来た道を戻って水面浮上ですね。
迷子になった時でも自力で帰れるよう、どのようなルートを通っているか、水中での景色がどうなっているか、意識しながらガイドについてきましょう。
下ばかり見ていると、知らず知らずにトラブルの渦中にいる……という例はたくさん話しましたが、これは逆の言い方もできます。
自分のトラブルを自分で解決できる自信があれば、下に集中して大丈夫、ということです。ガイドやバディから少し離れて活動することもできます。
(ガイドはスキルが未熟な人がいればその人も見てあげましょうね)
タンクを開け忘れた、タンクに何かひっかかった、タンクが落ちた。
タンクは背後にあるので、これらに対処するにはブラインドでする必要があります。
それも肩が柔らかければ、です。
BCDの脱着がスムーズにできれば、こういったことに1人で対応できます。
誰かに頼むほうが早いのでそれがベストではあります。
ですが、みんな下を向いていて誰も助けてくれないーなんてことはよくあるので、1人でどうにかできるようにしておく、のは良いことです。
減圧症はダイビングでも意識しずらい後遺症を残す疾患です。
深く潜るだけで、音も痛みもなくかかっています。
NDL(ノンデコンプレッションリミット:無減圧限界)は減圧症を予防する目安であり、全てのダイビングはNDLの範囲内で行うべきです。
NDLが切れる前に浅い場所へ移動しましょう。しかし、減圧症は深場から浅場へ移動する際に発症します。浅い場所に向かうときは自分がはいた泡の速度を越えない範囲で。
もしNDLが切れてDECO(デコンプレッション)の表示が出たら、ダイコンの指示に従って緊急減圧停止をします。
肺の過膨張は急上昇によって起きます。浮上するときは息を止めず、泡の速度をこえない範囲で。
リバースブロックは耳管が開かず、中耳の内圧が高いままになってしまう現象です。このままでは鼓膜が外側に張り、破裂することもあります。
リバースブロックが起きたときは耳抜きとすることは同じです。
鼻をつまんだり、唾をのんだり。
リバースブロックが発生した時は無理に水深を上げてはいけません。
減圧症と肺の過膨張、リバースブロックは浮上することで起きる身体的疾患です。
ダイビングは深い場所へ行くのが怖い、と思うかもしれませんがそうではありません。
ダイビングは浮上することが最も危険であり、それゆえ深い場所へ行くことが危険なのです。
耳抜きが間に合う限り、深い場所へはどれだけ早く行っても大丈夫です。
しかし、浮上するときは減圧症、肺の過膨張、リバースブロックに気を付けてゆっくり上がらねばなりません。
エアが少なくても、NDLが迫っていても。
もちろん、エアがなくて窒息死するよりも、潜水病を覚悟で浮上するときがあります。
だから、深い場所に行くときはその上昇負荷を考慮していく必要があるんです。
0コメント